「ケアリング/マザーフッド:「母」から「他者」のケアを考える現代美術―いつ・どこで・だれに・だれが・なぜ・どのように?―」水戸芸術館現代美術ギャラリー

「ケアリング/マザーフッド:「母」から「他者」のケアを考える現代美術―いつ・どこで・だれに・だれが・なぜ・どのように?―」水戸芸術館現代美術ギャラリー

名称:「ケアリング/マザーフッド:「母」から「他者」のケアを考える現代美術―いつ・どこで・だれに・だれが・なぜ・どのように?―」水戸芸術館現代美術ギャラリー
会期:2023年2月18日(土)〜5月7日(日)
開館時間:10:00〜18:00(入場は17:30まで)
料金:一般 900円
休館日:月曜日 ※祝日の場合は翌火曜日
会場:水戸芸術館現代美術ギャラリー
住所:〒310-0063 茨城県水戸市五軒町1-6-8
TEL:029-227-8111
URL:水戸芸術館現代美術ギャラリー

二藤建人《誰かの重さを踏みしめる》2016-2021年 Courtesy of LEESAYA
二藤建人《誰かの重さを踏みしめる》2016-2021年 Courtesy of LEESAYA

人は人生のさまざまな局面で「ケア」を受け、また「ケア」を施す機会に直面します。哲学者エヴァ・フェダー・キテイが「どんな文化も、依存の要求に逆らっては一世代以上存続することはできない」と述べるように、「ケア」は社会の根幹に位置づけられるべき概念のひとつと言えるでしょう。しかし、社会における「ケア」は、合理主義や生産労働を優先する近代社会の形成において長らく抑圧され不可視なものとして扱われてきました。近代的家族規範では女性が「ケア」にかかわる労働の主な担い手とされ、産業構造が劇的に変化した現代においてもジェンダーに基づく規範や格差は市場や社会に根強く残っています。その一方、新自由主義の潮流下では社会構造における自己決定や自己責任が強調され、生きるための「ケア」を自己責任化する風潮が強まっています。このような趨勢のなか、アーティストたちは同時代の社会を観察し、ときには「ケア」当事者としての経験を交えながら、「自己と他者の境界の曖昧さのなかでの葛藤」(ファビエンヌ・ブルジェール)を抱える声に耳を傾け、多彩な芸術作品を通してその「葛藤」の意味を世に問い掛けてきました。
本展では、同時代の芸術表現によるエンパワメントの可能性を模索するとともに、地域に根差した文化施設として公的領域と「ケア」のつながりを強め、実践性を伴った場づくりを試みます。作品展示から展示空間のつくり方、関連プログラムに至るまで、「ケア」と社会のつながりを問い直す展覧会となることを目指します。

ホン・ヨンイン《アンスプリッティング》2019年
ホン・ヨンイン《アンスプリッティング》2019年
本間メイ《Bodies in Overlooked Pain(見過ごされた痛みにある体)》2020年
本間メイ《Bodies in Overlooked Pain(見過ごされた痛みにある体)》2020年
青木陵子 展示風景:「三者面談で忘れてるNOTEBOOK」2018年、Take Ninagawa、東京 撮影:岡野圭
青木陵子 展示風景:「三者面談で忘れてるNOTEBOOK」2018年、Take Ninagawa、東京 撮影:岡野圭
出光真子《たわむれときまぐれと》1984年
出光真子《たわむれときまぐれと》1984年
AHA![Archives for Human Activities / 人類の営みのためのアーカイブ] 展示風景:「わたしは思い出す10年間の育児日記を再読して」2022年、デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)、兵庫
AHA![Archives for Human Activities / 人類の営みのためのアーカイブ] 展示風景:「わたしは思い出す10年間の育児日記を再読して」2022年、デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)、兵庫
碓井ゆい《要求と抵抗》2019年、愛知県美術館蔵
碓井ゆい《要求と抵抗》2019年、愛知県美術館蔵
ヨアンナ・ライコフスカ《バシャ》2009年
ヨアンナ・ライコフスカ《バシャ》2009年
石内 都《幼き衣へ #2》2013年 Courtesy of Third Gallery Aya
石内 都《幼き衣へ #2》2013年 Courtesy of Third Gallery Aya
ラグナール・キャルタンソン《私と私の母》2010年
Courtesy of the artist and Luhring Augustine, New York, and i8 Gallery, Reykjavík
ラグナール・キャルタンソン《私と私の母》2010年 Courtesy of the artist and Luhring Augustine, New York, and i8 Gallery, Reykjavík
リーゼル・ブリッシュ《ゴリラ・ミルク》2020年
リーゼル・ブリッシュ《ゴリラ・ミルク》2020年

【出品作家】(日本語五十音順)

青木陵子(1973年兵庫県生まれ、京都府を拠点に活動)
AHA![Archive for Human Activities/人類の営みのためのアーカイブ](2005年から活動)
石内 都(1947年群馬県生まれ、同県と東京都を拠点に活動)
出光真子(1940年東京都生まれ、同都を拠点に活動)
碓井ゆい(1980年東京都生まれ、埼玉県を拠点に活動)
ラグナル・キャルタンソン(1976年アイスランド生まれ、同国を拠点に活動)
二藤建人(1986年埼玉県生まれ、同県を拠点に活動)
マリア・ファーラ(1988年フィリピン生まれ、英国を拠点に活動)
リーゼル・ブリッシュ(1987年デンマーク生まれ、同国とドイツを拠点に活動)
ホン・ヨンイン(1972年韓国生まれ、英国を拠点に活動)
本間メイ(1985年東京都生まれ、同都とインドネシアを拠点に活動)
ヨアンナ・ライコフスカ(1968年ポーランド生まれ、同国と英国を拠点に活動)
マーサ・ロスラー(1943年米国生まれ、同国を拠点に活動)
ミエレル・レーダーマン・ユケレス(1939年米国生まれ、同国を拠点に活動)

マリア・ファーラ《鳥にえさをやる女》2021年、個人蔵 Courtesy of Ota Fine Arts
マリア・ファーラ《鳥にえさをやる女》2021年、個人蔵 Courtesy of Ota Fine Arts

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