考古用語辞典 A-Words

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「王子午」鼎・匕  2008年10月19日(日)更新

「王子午」鼎・匕
【和:「おうじご」てい・ひ
【中:「Wang zi wu」ding・bi
春秋戦国|青銅器>「王子午」鼎・匕


(煮炊き器・さじ)
青銅製
春秋時代
口径66cm 高69cm 重86kg
1979年河南省淅川県下寺出土
河南省博物館蔵
 器形は大きい 環状の鈕(つまみ).平らな蓋.立った耳は外に反りかえる。口縁は広がり,端は角ばっている.腰はしまり,短腹.平底.太く短い獣面の付いた蹄足.文様は繁縟で,腰部に突帯が一周し,耳と口縁と突帯には半浮き彫りと透かし彫りの花弁文を飾る。足に獣形の稜飾.造りは精美,文様は華麗である 全体は分割鋳造法を採り, 6個の浮き彫りの獣は蠟型法で鋳造している。これは今まで発見されたうち最も古い蠟型法による鋳造物である。春秋時代楚国の鋳造工芸の高い水準を示している.蓋と器の内壁にそれぞれ銘文を鋳出す。主な内容は,王子午がこの器を作った目的と彼自身の徳をたたえている 大意は次のようである。楚の康王某年正月丁亥の日,王子午は美しい銅を選び礼器香(丞+月)鼎を鋳造して,先祖の文王を祭り,長寿を祈願し,恭しく神に永く福を受けんことを祈る.我は恐れず,力あり,人民に徳政を施し,また身をもって範を示し,楚国を保護し防衛した.故に楚の全国民から尊敬された。子孫末代にあたり永遠に以上のことを守って, 自己の行動の準則とするように希望する.
史料から推断すると,王子午は楚の荘王の子で,楚の共王の時に司馬の職となり,呉に対する庸浦(楚の地,今の安徽省無為県西南)の戦いに参加し,大いに呉軍を破った(前560年).楚の康王2年に今尹(楚の宰相)となり,康王6年,軍を率いて鄭国を伐ったが,功なくして還った.康王8年(前552年)夏に歿した,(王子午は『左伝』襄公12~21年に見える公子午,字は子庚のこと )蓋の上に置かれていた匕(さじ)は幾らか弧形をなし,撹拌に使われた。出所:「黄河文明展」

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