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法華義疏巻第二・四 2009年3月12日更新

法華義疏巻第二・四
【和:ほっけぎしょ
【中:Fa hua yi shu juan
彫刻・書画|>法華義疏巻第二・四

聖徳太子
四巻のうち二巻
紙本墨書
[巻第二]縦二五・一 全長一四二〇・二
[巻第四] 縦二五・一 全長二三一○・○
飛鳥時代・七世紀
御物
 法隆寺に伝来した「法華義疏」四巻は、明治十一年(一八七八)法隆寺に伝わった他の多くの宝物とともに皇室に献納された。戦後、大部分は法隆寺献納宝物として国に移管され、現在、東京国立博物館に保管されるが、「法華義巻」や一部の 宝物は御物としてそのまま皇室に留められた。この「法華義巻」四巻は聖徳太子(五七四~六二二)の筆として明治天皇の遺愛にかかるものである。奈良時代と考えられている竹製の帙および「法華義巻四巻」「御製」と表裏に墨書された牙籤が付属する。「提婆品」を含まない二十七品からなる『法華経』の注釈書で、中国南朝梁の僧・法雲の『法華義記』等に依拠しつつその説を述べたものであることが指摘される。見返しと本紙の間に「貼紙」があり、本文とは別筆で標題が「法華義巻一」下方に「此是大委国上宮王私集非海彼本」と記されるが、「委」字の用法から八世紀初めに遡るものと考えられている。この四巻本の「法華義巻」は律師行信が求めて、「維摩経疏」三巻「勝鬘経義疏」一巻とともに法隆寺に施入したものと分かり(「法隆寺東院資材帳」天平宝字五年〈七六一〉十月)、以後聖徳太子信仰を彩りつつ、近代まで法隆寺に伝えられた。
 その書は、楷行草の各体がみられるが、おおむね丸みのある字形と運筆で、西魏の大統五年(五三九)の年紀をもつ「維摩経義記」との類似が指摘されるなど、中国六朝から隋の書法の影響が認められる。
 また、字句の訂正や上から紙を貼った添削の痕などから、草稿本としての性格が見てとれ、高度な内容理解を伴う作業であることから、聖徳太子撰述とする一つの根拠とされてきた。筆者については異説もあるが、日本に伝存する最古の肉筆遺品としてきわめて貴重であることにかわりない。さらに、日本における漢字書法の受容や定着の歴史を考えてゆく上でも重要な遺品であり、今後一層の考究が俟たれる。
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