名称:「ミロコマチコ いきものたちはわたしのかがみ」神戸ゆかりの美術館
会期:2021年10月2日(土)- 12月19日(日)
休館日:毎週月曜日
開館時間:10時 – 17時(最終入館16 時30分)
入場料:一般=1,000(800)円、大学生=500(400)円、高校生以下無料
主催:神戸ゆかりの美術館、神戸新聞社、朝日新聞社
後援:サンテレビ、ラジオ関西
協力:亜紀書房、朝日出版社、朝日新聞出版、味の手帖、iTohen、岩崎書店、幻冬舎、講談社、小学館、newton、ブレーメン、ブロンズ新社
住所:〒658-0032兵庫県神戸市東灘区向洋町中2-9-1
TEL:078-858-1520
URL:神戸ゆかりの美術館
デビュー絵本『オオカミがとぶひ』(2012年、イースト・プレス)が、「第18回日本絵本賞大賞」を受賞したミロコマチコは、まさに彗星のごとく出版業界に登場しました。その後も、国内外の絵本賞や文芸賞をたて続けに受賞し、新作が常に期待される絵本作家のひとりです。いっぽうで、画面いっぱいに生物や植物をのびのびと描いた作風で知られ、画家としての活躍にも注目が集まっています。本展では、近作・新作を中心とした絵画や絵本原画から、書籍の装画、立体作品、アートディレクションまで200点以上を展示し、その魅力を余すところなく紹介します。
近作
ミロコマチコは、絵本作家デビュー前後から、時には音楽家と共に、延べ50回以上のライブペインティングを行ってきました。本展では、2016-2019年のライブペインティング作品をはじめとした絵画が一堂に会します。鋭い観察力でいきものの本質を捉え、ダイナミックなタッチで描きあげるのは、だれもがよく知るミロコマチコの表現ですが、2016年頃からモチーフが変化しました。身体の中を複数のいきものが埋め尽くす作品や、チョウの翅に自身の目が映りこんだ作品など、近作からはその後大きく表現が変容するきざしが見て取れます。
装画・アートディレクション
絵本作家や画家としての活躍のほうが広く知られるミロコマチコですが、書籍の装画や企業とのコラボレーションなど、イラストレーションやアートディレクションといった仕事も数多く手がけています。文字のレイアウトや作品のトリミングなど、必然的に他者の手が加わることが前提にあるため、自分が思うように描ける絵画作品とは異なる緊張感がただよいます。同時に、デザイナーの手によって、自身の表現が広がることへの期待感のような、絵によって他者とコミュニケーションすることの楽しさが伝わってくるでしょう。
絵本原画
ミロコマチコは、絵本作家としてデビュー以後、1年に約1冊のペースで絵本を発表してきました。豊かな想像力とのびのびとした筆致が魅力的な絵本は、2014年を境にさらに自由に、色彩豊かになり、においや手触りなど五感をも刺激するものへと変容しました。加えて、読み手によってさまざまな解釈ができる余白もうまれました。本展では、ブラティスラヴァ世界絵本原画展(第26回)において金牌を受賞した『けもののにおいがしてきたぞ』(2016年、岩崎書店)をはじめ、『まっくらやみのまっくろ』(2017年、小学館)、『ドクルジン』(2019年、亜紀書房)の3冊の近作絵本の原画を紹介します。
山形ビエンナーレ
2016年と2018年に参加した山形ビエンナーレは、ミロコマチコにとってのターニングポイントであったといっても過言ではありません。山車のまわりをぐるりと回りながら読むのが楽しい《あっちの耳、こっちの目》は、人間と野生動物のそれぞれの視点で綴られた二つの「おはなし」でできた立体絵本です。人間と野生動物が同じ場面を共有しながらも、両者の意識が交錯することはなく、自然のなかにおける人間の在りかたが問われます。
画像提供:Kanabou、東北芸術工科大学
新作
東京での暮らしは便利でしたが、山形のような自然のほうが圧倒的な土地では、それらが何の役にも立たないことを実感したミロコマチコは、2019年6月奄美大島に移住しました。島のほとんどが山で、人間は海と山の間でちいさく暮らすこの土地で、彼女は見えないものの音を聞き、見えないものの気配を感じるようになりました。新作には、霊性を帯びた未知なる存在が登場しています。まばゆく、決まったかたちを持たない彼らは一体何者なのでしょうか。
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