杉本博司 「OPERA HOUSE」ギャラリー小柳

杉本博司 「OPERA HOUSE」ギャラリー小柳

名称:杉本博司 「OPERA HOUSE」ギャラリー小柳
会期:2022年9月3日(土)­- 11月6日(日)
開館時間:12:00–19:00
休廊日:日 / 月 / 祝日
住所:〒104-0061 東京都中央区銀座1-7-5 小柳ビル 9F
TEL: 03-3561-1896
URL:ギャラリー小柳

杉本博司「頃難に思う」
2020年
プロダクション/テキスト/ディレクション:杉本博司
音楽:渋谷慶一郎
Music : Keiichiro Shibuya
”Appropriate Proportion”
ATAK018 Soundtrack for Memories of Origin Hiroshi Sugimoto
原文:2020年4月15日読売新聞より
展示写真:京都京セラ美術館「杉本博司 – 瑠璃の浄土」展より
写真:小野祐次、鈴木芳雄、杉本スタジオ

この度、ギャラリー小柳では杉本博司の個展『OPERA HOUSE』を、9 月3 日(土)から11 月6 日(日)の会期で開催いたします。本展では、国内で初めての展示となる杉本の「オペラ劇場」シリーズを、一堂に展示いたします。
「オペラ劇場」は、ヨーロッパにある数百年を経たオペラ劇場を、杉本が1970 年代より制作を続けている「劇場」シリーズと同じ手法で撮影した作品群となります。すなわち「オペラ劇場」のシリーズは 「劇場」の流れを汲むもので、後に制作される「廃墟劇場」と併せて、劇場の歴史的な変遷を私たちに見せてくれます。
「劇場」で撮影された映画館––––20世期前半にヨーロッパの劇場を模して建てられたアメリカの映画館は、巨大化し、様々な地域・時代の豪奢な意匠を織り交ぜて異国情緒を漂わせた装飾で彩られていました。そしてその装飾の引用元となったヨーロッパの劇場(杉本がいうところの『本歌取り』の『本歌』)を杉本が訪ねるところから、「オペラ劇場」の制作は始まります。

私は模倣のもととなったヨーロッパの劇場を訪ねることにした。1580 年パラディオ設計になるテアトロオリンピコから始まり、18 世紀にかけて北イタリアを中心として華麗なる劇場が多数建てられた。神話が捏造されたフィクションであるならば、映画もまたリアリティーを捏造されたフィクションである。私はスクリーンを持たない古典劇場にスクリーンを架け、イタリア映画の古典名作を映し、映画1 本分を露光した。スクリーンは白光化し、何者かの顕現のようにも見える。
杉本博司

「オペラ劇場」は舞台上にスクリーンを設置し、名作と言われる古典映画を上映した状態で撮影されます。カメラの露光時間を各映画の上映時間に設定し、スクリーンへ照射される数十万枚もの映画フィルムのコマを1 枚の写真フィルムに収めることによってスクリーンは白く光る矩形となり、その光によってオペラ劇場内部の装飾が浮かび上がります。「オペラ劇場」は「劇場」と同様に映画1 本分の時間を1 枚の写真に収めたシリーズですが、「劇場」では映画館を横構図で撮影したのに対し、その建築的な構造から「オペラ劇場」は縦構図で撮影され、スクリーンのある舞台側だけでなく、スクリーンからの光によって照らされた客席側も作品化されています。イタリアの古典的なオペラ劇場を巡った杉本の旅は、フランスへと続いていきます。2018年、ヴェルサイユ宮殿の小トリアノンで行われた個展「SUGIMOTO VERSAILLES」では、演劇を愛したマリー・アントワネットが自身のためにつくった壮麗な小劇場を杉本が撮影し、新作として発表しました。また2019年には、杉本がパリ・オペラ座のために手がけた「At the Hawk’s Well/鷹の井戸」が上演されたガルニエ宮オペラ座を、舞台上につくり出された能舞台も含めて撮影しています。今回のギャラリー小柳の個展では、フランスで撮影されたこれら二つの「オペラ劇場」もあわせてご覧いただけます。
「オペラ劇場」で投映された映画は杉本が劇場に合わせて自ら選び、撮影後にストーリーを要約し、テキスト化しました。本展覧会では是非テキストを読みながら、白く光るフィクションと、フィクションからの光に照らされたリアルのオペラ劇場の姿をご堪能ください。
また、9月17日(土)より兵庫県の姫路市立美術館で「杉本博司 本歌取り––––日本文化の伝承と飛翔」、同じく姫路市北西部にある名刹、書寫山圓教寺では「圓教寺×杉本博司 能クライマックス––––翁 神 男 女 狂 鬼」が開催されます。 あわせてご高覧頂ければ幸いです。

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