片山穣 「ever where」s+arts

片山穣 「ever where」s+arts

名称:片山穣 「ever where」s+arts
会期:2023年5月19日(金)~2023年6月3日(土)
開館時間:12:00 〜 19:00 最終日は17:00まで
休館日:月曜日、日曜日、火曜日
入場料:無料
会場:s+arts
住所:〒106-0032 東京都港区六本木7-6-5 六本木栄ビル 3F
TEL:03-3403-0103
URL:s+arts

s+arts(スプラスアーツ)より、片山穣個展「ever where」の開催をお知らせいたします。
ろうけつ染めに独自の技術を加えた染色技法で作品を制作している片山穣。多くの制約が伴う中で綿密に計画され、幾度も繰り返される染色の作業工程と、それを成し遂げられる片山の技術と器量によって、絵柄が何層にも重なり、繊細な作品の表情を出すことを可能にしています。絵画とは異なり、「染め」は色を重ねても表面に凹凸が出来ません。しかしながら、何度も重ねられた色が糸の中に染み込み、制作過程で試行錯誤をした痕跡が生地の表面に現れることで、染料ならではの透明感のある発色と柔らかで深みのある表情が作られるのです。「制約が多く、修正の効かない手法で作品を制作することは、柵の多い社会の中でどう生きていくか考える事と似ている」と考える片山は、作品を通じて社会と共振し、新たな染めの可能性を探求している作家だと言えるでしょう。
「いつか、どこかで」という意味合いを込めた本展「ever where」では、実際の風景をモチーフに描かれた作品を軸に展開いたします。鑑賞者にとって第三者である作家自身の目を通して感じた風景を、「染め」というフラットで情報量の少ない技法で意図的に描く事で、匿名性が高く既視感を覚えるような、日常の中にある心地良い瞬間に繋がることを願って制作をしています。今回は、風景を切り取るアングルや構図、光の見え方等にも更に拘り、朝から夜に移り変わる時間軸が感じられるような展示構成でスペースを彩ります。
「私の作品は、現実逃避して孤りに還ることができ、自分自身と向き合いクールダウンするための装置としての役割を持っています。作品を通して、些細な景色の中にある、個々人が持つ普遍的な開放感と、心に潮が満ちるような感覚を呼び起こし、ストレスからの解放をもたらす事を意図しています。」—片山穣
近年の片山作品の特徴の一つとも言える、作品中に散りばめられている点は、蝋を用いてフリーハンドで描いた痕跡による図柄です。単純な行為の蓄積でありながらも、モチーフを干渉しない絶妙な間隔で並べられることにより、心地良い時の経過を感じられ、大小の大きさの変化により、感情の振れ幅と視覚的な効果がより強く感じられるよう工夫されています。
モチーフとなる風景は都心の裏路地だったり、太陽の光が降り注ぐ海岸線だったりと様々ですが、そこから片山が引き出す静謐な空気感と染め特有の雰囲気が見事に交わり、大変美しい印象の世界観が表現されています。

関連記事

コメント

  • トラックバックは利用できません。

  • コメント (0)

  1. この記事へのコメントはありません。

ピックアップ記事

  1. 「倉敷のやきもの―民藝の風吹きて―」きび美ミュージアム
  2. 「土が開いた現代 革新するやきもの」和歌山県立近代美術館
  3. 「殿さまのスケッチブック」永青文庫
ページ上部へ戻る