「合図」Up & Coming

「合図」Up & Coming

名称:「合図」Up & Coming
会期:2024年4月6日(土)〜2024年5月12日(日)
会場:Up & Coming
開館時間:12:00 〜 19:00
   金曜日・土曜日は20:00まで
休館日:火曜日
入場料:無料
住所:〒150-0001 東京都渋谷区神宮前3-42-18
URL:Up & Coming

この度、Up & Comingではこけら落としとしての展覧会「合図」を開催します。
街を歩くからだがそのまま作品を作り、街を歩くからだがそのまま作品を見る。展覧会の会場で、人々はそれぞれが別のコンテキストを持ち寄っている。Up & Comingの建物は外苑前エリアに位置し、今まで展覧会の会場としては使用されてこなかったスペースです。この展覧会を契機に、ここに来る人は作品を見ることになる。本展は大石一貴、齋藤春佳、張小船 Boat ZHANGの3名の作品によって世界に対してスタートの「合図」を送る展覧会です。
大石一貴は物質や文字や空間の諸要素を彫刻家として扱います。たとえば湿気までもを作品の構成要素とする時、乾ききっていない土の立体が湛える水分とそこに刻まれた詩によって、展示会場からは見えない海岸のイメージが鑑賞者を経由して会場へ流れ込む。その言葉の粒と砂の一粒が重なるのは、個別の物質や出来事が人の知覚を経由して現れているからこそです。それでいて、時にその作品の射程は鑑賞者の目を通過し後方へ遠ざかり続ける人工衛星まで達します。
齋藤春佳は身の回りで起きた事象を日常生活では捉えきれない多次元的時空構造と結び付けた絵画やインスタレーションを制作します。その作品経験は鑑賞者と作品の間に生起し、繰り返し再生可能でありつつも過去の自分とすら同じ経験をすることはできないことから、見る行為者の現在地がその都度見つめ返されます。
張小船 Boat ZHANGは日常生活における些細な感情や違和感からパフォーマンス、映像、テキストなどによってアクションを起こします。社会を生きる鑑賞者である私たちは、その逸脱によって脅かされもしますが、その仕草が含むユーモアに導かれて思わず微笑む時、自ずから密かに作品と共犯関係を結びもします。
合言葉、狼煙、サイン、信号、痕跡。「合図」にはその取り決めを知らない他者には意味がわからないという特徴があります。それでも、作品が放つ「合図」は世界のどこかと結ばれている。今から100年後のどこか。地球から3光年先のどこか。あるいは時間や距離では測れないかたちの、どこか。目の前のあなた。発された「合図」を受け取るもう一方の末端がある。
それぞれ別のコンテキストを持ち寄って会場に辿り着いた人が、作品の放つ「合図」を読み取るための取り決めを手にしていないまま受け取ることになるのはある意味当然で、それでいて、神経細胞が「合図」に向かって手を伸ばしていくうちにその受容器が新たに形作られていくこともある。晴れた朝の見えない花火の音によって今日運動会がどこかで開催されることを知ることはできるので、その「合図」の受取手である運動会の主役とは異なる次元で空を眺めるように、ある程度のコンテキストの一致を元に作品と関係を結ぶこともある。作品の放つ「合図」に呼応するのは作者ではなく鑑賞者である可能性もある。
これからここではいろんなことがある。これまでになかったことがある。その起点として3名の作品が放つ「合図」を是非ご鑑賞ください。
アーティスト
大石一貴、齋藤春佳、張小船Boat ZHANG

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