片柳拓子 展「impersonation」Alt_Medium

片柳拓子 展「impersonation」Alt_Medium

名称:片柳拓子 展「impersonation」Alt_Medium
会期:2022年4月8日(金)~2022年4月20日(水)
開館時間:12:00 〜 20:00 最終日は17:00まで
休館日:木曜日
入場料:無料
会場:Alt_Medium
住所:〒161-0033 東京都新宿区下落合2-6-3 102
TEL:03-5996-8350
URL:Alt_Medium

 到着したら、とりあえず一杯お茶をする。
 温かい飲み物を飲んでいると少しずつその街になじんでいく気がするのだ。飲み終えた頃には、私はその街の住人が着ているような空気をまとう。そして、あたかもその街の住人のような顔をして街を歩きだす。
 その街に住んでいないと歩かない路地に迷い込んでみる。というよりも自ら街に迷いに行く。温かい飲み物を飲みながらまとった街の空気は「その街に住む住人から近所に住んでいそう」もしくは「今度この街に越してきました」といった立ち位置を演出する。
 時折、人に見られている気配を感じて振り返ってみると、人ではなく猫に見つめられてこともある。猫に見つめられていると思い振り返ってみると、そこには誰もいない。そこにあるのは物だけで、何に見られているのかわからず、あたりを見回す。何かに見つめられている気がして、その気配を探す。だが、人影も動物の影も見えない。
 実際は、そこに誰かがいたのかもしれない。しかし、その気配だけが私に触ってくるのである。そして、こちらを向けと囁くのだ。
 そのうち自分がどのあたりを歩いているのかわからなくなり途方に暮れる。都内某所の駅からスタートしたのだから、どこかにランドマークとなるようなものが見えるのではないかと遠くを見つめるが、新しいのか古いのかわからない街並みが、ただ続いているだけだった。そこから、どこにあるかもわからない駅を探しながら再び歩き出す。
 いつの間にか大きな道路にたどり着き、スタートした駅とは違う見知らぬ駅についていた。家々とビルと空き地が連なっている道を歩いたということだけは覚えているが、どこをどう歩いたらこの駅につけたのか皆目見当がつかない。
 そして、いつの間にかまとっていた空気は薄れ消え、異物となってホームに立っていた。
2022年4月吉日 片柳拓子

〔作家プロフィール〕
片柳拓子 / KATAYANAGI Takuko
文化女子大学(現:文化学園大学)造形学部 生活造形学科 工芸コース 金工専攻卒。
金村修ワークショップ、タカザワケンジゼミ(カロタイプ)受講。
〔個展〕
2021「possession」(IG Photo Gallery / 東京)
〔出版〕
2021『filling-in』(私家版)
2020『Sensation Potential』(私家版)、ほか

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