夏秋の特別展「中国民衆玩具の世界」日本玩具博物館

夏秋の特別展「中国民衆玩具の世界」日本玩具博物館

名称:夏秋の特別展「中国民衆玩具の世界」日本玩具博物館
会期:2022年7月9日(土)-2022年10月23日(日)
会場:6号館
住所:〒679-2143兵庫県姫路市香寺町中仁野671-3
TEL:079-232-4388
URL:日本玩具博物館

  日本玩具博物館は、日本の郷土玩具をはじめ、近代化のなかで居場所を失い、顧みられることなく、消えていこうとする世界各地の民族色豊かな人形や玩具を蒐集し、展示や普及活動を通して、それらの中に表現された民族や地縁集団の美意識、造形感覚、宗教観、子ども観などを見つめてきました。今夏は、広い中国大陸の各地で花開き、人々が長い年月をかけて育んだ郷土色にあふれる玩具を取り上げ、季節性や地域性、また素材にも注目して、中国民衆玩具の世界を紹介します。
  過去には、2013年夏に「中国の民間玩具」と題して、当館のコレクションを総覧する特別展を開催いたしましたが、今回の特別展では、7月に大福書林から刊行予定の『中国民衆玩具ー日本玩具博物館コレクション』(当館学芸員・尾崎織女著/高見知香写真/軸原ヨウスケデザイン)の掲載作品を中心に展示して、民族性溢れる玩具の魅力を立体的に探っていきます。展示室には高見知香さんの写真を配し、書籍と合わせてお楽しみいただける内容構成です。
  ※民衆の暮らしの中から誕生し、民間信仰や地域の工芸、演劇、伝説などとも結びついて発展をみた人形や玩具の総称として、中国では「民間玩具」という言葉が用いられています。それらは身近にある自然素材から家内工業的に作られ、地域の祭礼行事ともつながりが深く、遊戯の道具であると同時に、持ち主の健康を守り、招福をもたらす縁起物としての側面もまた強くもっています。長い歳月、民衆が愛しみ、伝承を重ねるなかで、人々の暮らしの一部ともなった人形や玩具たち、ひとりの作者の創造的な芸術表現の枠を超え、地縁集団や民族が共有する表現様式に彩られた品々を、今回、「民衆玩具」と呼んでご紹介いたします。
  当館は、1920~30年代、中国東北部(「満洲」)に暮らした日本人の玩具蒐集家より、兵庫県神戸市在住の小児科医、尾崎清次氏(1893~1969)のもとへと渡り、のちに遺族から寄贈を受けた戦前の玩具、約200点を所蔵しています。中国国内では、日中戦争(中国では「抗日戦争」)、中華人民共和国成立、文化大革命(「文革」)へと続く時代の荒波を受けて戦前の玩具のほとんどが失われたため、日本に遺されたそれらの品々は、当時の中国東北部周辺の習俗を探る上でも貴重な資料といえます。
  また、美術家であり、民間玩具研究の第一人者であった李寸松氏(1927~2011)から贈られた200点に及ぶ資料群や、日本人研究者、伊藤三朗氏(1932~2021)から寄贈を受けた約1,000点のコレクションにおいては、文革後の民間美術復興運動のなかで蘇った1980~90年代の玩具が大半を占めており、地域固有の造形感覚や美意識を示す佳品が揃っています。

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