キース・ボードウィー 「You’re so great and I love you」MARGIN

キース・ボードウィー 「You’re so great and I love you」MARGIN

名称:キース・ボードウィー 「You’re so great and I love you」MARGIN
会期:2023年6月23日(金)~2023年7月22日(土)
開館時間:10:00 〜 18:00
休館日:日曜日、祝日
入場料:無料
会場:MARGIN
住所:〒103-0003 東京都中央区日本橋横山町4-10
TEL:070-4000-8007
URL:MARGIN

この度MARGINでは、カリフォルニアを拠点に活動する作家、キース・ボードウィー(1961-)による個展「You’re so great and I love you」を、馬喰横山のギャラリーにて開催いたします。弊社での展覧会開催は2度目となる作家の本展示では、近年ボードウィが取り組んでいる擬人化された動物をモチーフにした油彩画のキャンバス作品を12点発表いたします。性別や人種や階級などの前提に縛られない新たな肖像画として、アイデンティティや自己喪失といったテーマに挑んでいます。
1980年代にキャリアを開始したボードウィーは、演劇の経験を経た後、UCLAでポール・マッカーシーやクリス・バーデンに師事し、パフォーマンスアートやアクションペインティングを学びました。写真やコラージュに加え、自らの体を限界まで追い込む自己犠牲的でセクシャルなアクションアートの実践を通じて、自らのクィア・アイデンティティの探求と美術史への批判的なアプローチを行ってきました。2000年代に入ると、パフォーマンスに大きく依存したキャリアを整理し、平面絵画の実践に移行します。セクシャリティや異性愛規範に対する挑戦といった従来の表現を引き継ぎながらも、独自のメタファーや語彙を蓄積していく方法を模索し始めます。
本展で展示する作品は、2020年以降に制作された油彩画です。ボードウィーは近年の絵画制作について「潜在的な自己喪失から解放されて、自らに課した制約の中で自由に遊び回る自己治療的な側面がある」と語っています。孤独、憧憬、不安や憂鬱といったニュアンスをユーモアで覆い、従来の肖像画にはない軽やかさで描きます。カエルは、自伝的な物語を共有するオルターエゴであり、成長過程で両生類が変態するように、「Frog Painting」として初期から発展し続けており、意図的にジェンダーレスな姿に変換されています。煙草のモチーフは、生きることや呼吸することを可視化する手段として用いられています。象徴的なロックの名盤のジャケットが画中画のように描かれたポスターシリーズでは、クイーンやチープトリックなど、全盛期に熱狂的なファンを持ち、カルチャーの文脈に重要な意味を持ったミュージシャンが登場します。失われた自己と過ぎ去ってしまった近過去へのノスタルジックな憧憬が垣間見えます。水槽の中の金魚は、隔絶された環境での創作活動やそのような状況で孤立することのメタファーとして機能しており、同時にアンリ・マティスが好んだ主題でもあります。美術史に批判的でありながらも真摯であり続けるボードウィーが、色彩や構図の関係を再解釈する実践の一つです。これらの動物や、ガラスボウルや植物などの静物のモチーフは、線、色彩、面、輪郭や構図、遠近法といった絵画の形式的な側面を探求するための自由な器として、ボードウィーの創作意欲を刺激しています。水槽の中や周りの影、屈折した光は、光の自然な振る舞いに基づくものではありません。図形が押し合い、幾何学的な形が無理やり集まって、本物らしい信憑性を生む抽象的な構図です。ボードウィーは、絵画という制約の中で独自の語彙とメタファーを積み上げながら、より親密な物語を鑑賞者に語ろうとしているのです。
本展では、展示作品とともにボードウィーの90年代から続く活動のアーカイブ資料も公開します。想像力に自由を与え、象徴的でユーモラスな冒険を続けているボードウィーの作品群をぜひご覧ください。

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