「HOW TO STAY 移動すること 変化すること しないこと」伊勢現代美術館

「HOW TO STAY 移動すること 変化すること しないこと」伊勢現代美術館

名称:「HOW TO STAY 移動すること 変化すること しないこと」伊勢現代美術館
会期:2024年1月6日(土) 〜 3月24日(日)
会場:本館1F / 展示室
休館日:火・水曜 定休 (祝日は開館)
    2/15・3/18
住所:〒516-0101三重県度会郡南伊勢町五ヶ所浦湾場102-8
TEL:0599-66-1138
URL:伊勢現代美術館

本展覧会は、6名の作家がそれぞれの居住地や出身地を巡回し「移動」について考える展覧会プロジェクト「How to Stay」の第3回目となります。
第1回目はにドイツのハレ、第2回目はドイツのホーフで開催されました。
ドイツ語には Heimweh(ハイムヴェー)と Fernweh(フェルンヴェー)という言葉があります。
Heimweh は「ホームシック」、Fernweh は Heimwehの反対の言葉 つまり「遠くへ行きたい気持ち」のことです。
日本語にはない言葉ですが、日常を離れてどこかへ行きたいという気持ちは多くの人が持ち得るものでしょう。
「weh」には「痛い、悲しい」という意味もあります。
どこか別の場所を想うことは「痛み」を伴うこと。
移動したい衝動と、住み慣れた場所に親しみ、外に出ていくことに対する不安な気持ちとの間で揺れ動くことは「移動」に当たって人間が持つ自然な心のありようではないでしょうか。
移動をし、新しいことを学び、経験することは「変化」していくことでもあります。
その場所を訪れて言語や 文化を学ぶこと。定住するためにその場所や人々に馴染んでいくこと。
これらは今までの自分を変化させていくことです。
楽しいことでもあり、苦しいことでもあります。
また、人々が移動する理由も様々です。
旅行のように自分でタイミングや行き先を決める場合もあれば、仕事 などで必要に駆られて赴くこともあります。
戦争や被災などでやむをえず移動する場合もあります。
全く新しい土地に行くこともあれば、過去に行ったことがあったり、誰か知り合いがいるような場所を辿って いく場合もあります。
どこかに行きたいけれど、どこに行きたいかわからない時は、思い悩んだりもします。
ここ伊勢志摩エリアには伊勢神宮があり、お伊勢参りが最も盛んであった江戸時代の人々にとっては一生に 一度は訪れたい場所でした。
自力でお伊勢参りをできない場合は代わりに犬をお参りさせたほどです。
本来巡礼は宗教的な行為で、聖地などを訪れることで信仰を深めますが、自分の好きなアニメやドラマなどの作 品の舞台となった場所を巡る行為も、現代日本では「聖地巡礼」と呼ばれています。
自分の支えとなっている存在が目的地となっている時は、旅もきっと心強いものになるでしょう。
伊勢は信仰を象徴する地でもありますが、人々の Fernweh の受け皿のひとつであったかもしれません。
この展覧会プロジェクトでは、6名の作家がそれぞれ「移動」をテーマに作品を制作しました。
展覧会が巡回する過程で作品を外的、内的要因によって変化させていくことも可能です。
キュレーションは 各地の担当作家がそれぞれ独立して行います。
つまり、作家、展覧会ともに「移動」について考えながら、 同時にプロジェクトそのものが移動を通して変化を需要し、成長していくのです。
本展覧会を通して作品だけでなく、人が移動し生きること、その背景にも考えを巡らせていただければ幸いです。
How to Stay プロジェクト
Eri Hayashi

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