アーティスト・プロジェクト#2.05「スクリプカリウ落合安奈:Blessing beyond the borders- 越境する祝福 -」埼玉県立近代美術館

アーティスト・プロジェクト#2.05「スクリプカリウ落合安奈:Blessing beyond the borders- 越境する祝福 -」埼玉県立近代美術館

名称:アーティスト・プロジェクト#2.05「スクリプカリウ落合安奈:Blessing beyond the borders- 越境する祝福 -」埼玉県立近代美術館
会期:2020年10月24日(土) ~ 2021年2月7日(日)
休館日:月曜日(11月23日及び1月11日は開館)及び12月28日(月)〜1月5日(火)
  臨時休館(2020年12月24日(木)〜2021年2月8日(月))
開館時間:10:00 ~ 17:30(展示室への入場は17:00まで)
会場:1階展示室ほか
観覧料:MOMASコレクションの観覧料が必要です。
  一般200円 (120円)、大高生100円 (60円)
  ※ ( ) 内は団体20名以上の料金です。
  ※ 中学生以下、障害者手帳をご提示の方 (付き添いの方1名を含む) は無料です。
  ※ 企画展観覧券をお持ちの方は、併せて本展及びMOMASコレクションもご覧になれます(各企画展会期中のみ。)
主催:埼玉県立近代美術館
協力(敬称略):
  JR東日本大宮支社
  DMM.make AKIBA
  田中沙紀
  考古学者 菊池誠一 教授
  東京藝術大学美術学部彫刻科教授 大巻伸嗣 教授
  Art collective “Residence project”
  猪俣百八燈保存会
  熊谷うちわ祭ご関係者一同
  松浦史料博物館
  平戸オランダ商館
  野村善文
  平戸市生月町博物館 島の館
住所:〒330-0061埼玉県さいたま市浦和区常盤9-30-1
TEL:048-824-0111
URL:埼玉県立近代美術館

《 Blessing beyond the borders 》/ Ana Scripcariu-Ochiai
「骨を、うめる – one’s final home -」/ Ana Scripcariu-Ochiai
 《The backside over there》写真, 木|サイズ可変| 2015年-
《The backside over there》写真, 木|サイズ可変| 2015年-

ある時代を生きる無名の人々、あるいは土地が引き継ぐ記憶や文化に焦点を当て、重層的なイメージをもつ作品を構築するアーティスト、スクリプカリウ落合安奈。
 アーティスト・プロジェクト#2.05では、各地のフィールドワークにもとづいた最新のインスタレーションを発表します。

作家略歴
スクリプカリウ落合安奈(Ana Scripucariu-Ochiai)
 美術家。1992年埼玉県生まれ。東京藝術大学油画専攻を首席、美術学部総代で卒業。同大学院グローバルアートプラクティス専攻修了。
 現在は同大学院彫刻専攻博士課程に在籍しながら国内外で作品を発表。日本とルーマニアの2つの母国に根を下ろす方法の模索をきっかけに、「土地と人の結びつき」というテーマを持つ。国内外各地で土着の祭や民間信仰などの文化人類学的なフィールドワークを重ね、近年はその延長線として霊長類学の分野にも取り組みながら、インスタレーション、写真、映像、絵画などマルチメディアな作品を制作。「時間や距離、土地や民族を越えて物事が触れ合い、地続きになる瞬間」を紡ぐ。
【主な近年の展覧会】
2020年:個展「Imagine opposite shore-対岸を想う」銀座蔦屋書店・GINZA SIX/東京
2019年:個展「骨を、うめる/one’s final home」nap gallery/東京
2019年:個展「mirrors」Bambinart Gallery/東京
2019年:「Bridge」ホイアン(世界遺産)/ベトナム
2019年:都美セレクショングループ展「星座を想像するように-過去、現在、未来」東京都美術館/東京
2018年:「Ascending Art Annual Vol.2 まつり、まつる」SPIRAL/東京・京都巡回

【作家ステートメント】
 本展全体に対する「越境する祝福」というタイトルは、出品作でもある《Blessing beyond the borders》(2019年制作)から名付けている。この大型インスタレーション作品では、過去に鎖国状態を経験した日本とルーマニアという遠く離れた2つの国の、土着の祭りや風習の映し出す景色が、二重螺旋状に空間に浮かび上がる。そしてそれらは、触れ合わずとも重なり合いながら旋回を続け、新しい光景を描き出す。また、作品空間に響き渡るこれまで訪れた土地の音に、今回の展覧会に合わせて、会場であり作者の出身地でもある埼玉県の土地の音を新たに組み込む。
 もう1つの出品作の《骨を、うめる-one’s final home》(2019年制作)では、「土地と人の結びつき」というテーマから発展した「人はどこに自分の骨をうめるのか」という問いから、人々の中に眠る「帰属意識」に焦点を当てている。2019年ベトナムにて、江戸時代に鎖国政策に翻弄されながら異国の地で永い眠りについた、ある1人の日本人の墓と出会った。墓は、日本の方角の北東10度に向けて建てられている。また墓の主は、鎖国政策によりベトナムのフィアンセとの仲を引き裂かれたものの、海を越えて会いに行く姿が言い伝えとして残されている。1つの墓の存在から、国策や、時に人々を隔てる国という境界を越えていく個人の想いについて考えさせられる。また本展では、墓の主の生まれた土地とされる長崎県で行った、国際結婚の歴史調査に基づく新作の発表も予定している。
 この2つのインスタレーション作品に象徴される、「鎖国と国際結婚」から見えてくる、隔たりを生むものと、逆にそれを越えてゆくものが、今回の展覧会の重要なテーマとなっている。そしてこのテーマから、「越境する祝福」の姿を探る最中に、COVID-19によるパンデミックが発生した。それと同時に、過去の出来事として向き合っていた「鎖国」が、現実のものとして起こることとなる。
 現在進行形の世界的な鎖国状態の中で、改めて対岸を想うことを問う作品として、2015年から世界各地の海辺で展開しているシリーズの《The backside over there》を展示する。海の写真を貼りこんだ壁状のこの作品では、海の持つ人々の移動を「阻む」側面と、潮流や浜への打ち上げによって出会うはずのなかったものを「つなぐ」という両面性を表している。鑑賞者が壁の前で写真を撮ると、実際に遠い土地の海辺で撮られた景色と同じ所に立っているように、空間的差異を越えてイメージ上でつながるような経験が生まれる。
 本展も会期延期を余儀なくされた中で、今の状況から見えてくる「越境する祝福」とは何なのだろう。目に見えない恐怖から、差別や、社会的・国際的な貧富の差による問題など、壁を形成する動きや分断を招くものが、これまで以上に目に見える形で現れている。いま、改めて立ち止まって考えるべき時が来ている。一生に一度あるかどうかという世界的な困難を乗り越えようとする現在において、そうした問題に時間をかけて向き合っていくことの中に、人々が国やコミュニティー間に起こる摩擦や利害関係を超えて同じ喜びを分かち合うことができる、「越境する祝福」が訪れる可能性があるのではないだろうか。

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