萩原英雄 「富士をおもう」武蔵野市立吉祥寺美術館

萩原英雄『三十六富士』より《ビルの谷間に》1981-86年

名称:萩原英雄 「富士をおもう」武蔵野市立吉祥寺美術館
会期:2022年11月17日(木)~2023年3月5日(日)
開館時間:10:00 〜 19:30
休館日:12月16日~2023年1月13日・1月25日・2月15日・2月22日は休館
入場料:一般 100円、小学生以下・65歳以上・障害者手帳提示 無料
会場:武蔵野市立吉祥寺美術館
住所:〒180-0004東京都武蔵野市吉祥寺本町1丁目8番16号 FFビル7階
TEL:0422-22-0385
URL:武蔵野市立吉祥寺美術館

富士山は、木版画家・萩原英雄が「生きる証」とした主題です。
山梨に生まれた萩原にとって、富士山は「毎日食べる御飯のようなもの」であり、故郷そのものでした。若き日に病を背負い、死の淵に立たされながらも長い療養生活をのりこえ、齢四十を過ぎて木版画家として立った萩原は、「何か人間を超えた大いなる力」に突き動かされるようにして独自の表現をつぎつぎに生み出します。創造するよろこびのうちに生の実感をつかんだ彼に、あらためて呼びかけてきたもの。それが、心の故郷、すなわち富士山という存在でした。木版画で富士山をあらわそうと思い立ったことこそ「真の甦り」であった、と萩原は振り返っています。
葛飾北斎の《富嶽三十六景》にちなみ、三十六の富士山の姿を描くと決めた萩原でしたが、その道のりは平坦なものではありませんでした。北斎の時代ではない、現代の富士山。様式美としてではなく、萩原の心をその時どきに切実に捉えた、「生きている」富士山―。それを表現するため、萩原は、富士山と一体になって呼吸をし、その深奥に触れようとしました。富士桜高原に山荘を建ててそこに暮らしながら、膨大な量の取材とスケッチを積み重ねること二十年。「人が見落とす、写真にならないような富士、それでいて、これぞ富士、というような」富士山を見出し、そこからさらに五年をかけて《三十六富士》シリーズを完成させました。
「何をもって『萩原の富士』とするか」。彼は、空の表現がその決め手になったと語っています。富士山を取り巻く千変万化の空もようと実際に向き合いつつ、それぞれの画面において富士山がもっとも生きる空をつくりだしていることも、特筆すべきでしょう。
今回は、《三十六富士》シリーズより、秋から初春にかけての富士山を展観します。完成から数年後に着手した《拾遺(こぼれ)富士》シリーズの五点とあわせ、「萩原の富士」に今なお生き続けているものを受けとっていただけたら幸いです。
文中引用は全て『美の遍路』(1996)より

萩原英雄『三十六富士』より《ビルの谷間に》1981-86年
萩原英雄『三十六富士』より《ビルの谷間に》1981-86年

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