「it Project 展覧会 vol.3 後藤靖香 『In the Blue』」iti SETOUCHI

「it Project 展覧会 vol.3 後藤靖香 『In the Blue』」iti SETOUCHI

名称:「it Project 展覧会 vol.3 後藤靖香 『In the Blue』」iti SETOUCHI
会期:2023年10月6日(金)~2024年1月21日(日)
会場:iti SETOUCHI
開館時間:10:00 〜 21:00
入場料:無料
住所:〒720-0067 広島県福山市西町1-1-1 1F
TEL:084-959-3481
URL:iti SETOUCHI 

Setouchi L-Art Project(SLAP)は、 第3回アーティスト招聘プロジェクトとして、2023年10月6日から2024年1月21日まで、広島県在住の画家 後藤靖香(ごとうやすか)氏による個展「In the Blue」を、iti SETOUCHIで開催します。
後藤は、自身の祖父や大叔父の戦争体験をはじめ、歴史に埋没した個人史や場所の記憶を丹念に調査し、大画面に劇画調のタッチで描くスタイルで知られています。本展では、近年後藤が取り組む人形浄瑠璃文楽にちなんだ作品制作に着目します。
後藤は、2023年3月にクールジャパンパーク大阪TTホールで上演された「COOL文楽Show」、2023年10月に大阪市中央公会堂で公開予定の「中之島文楽」の舞台美術を担当しています。
本展では、後藤が青の色彩を基調に描いた、これら舞台美術のプロジェクション・マッピングの素材となる原画、および緞帳の巨大ドローイングを中心に展示します。後藤がテーマカラーとした青は、物語の繊細な心情描写に効果を発揮し、そのドローイングの力は古典芸能の作品世界を現代の人々に新鮮に伝えることに成功しています。
今日では、大阪は人形浄瑠璃文楽の中心地として知られていますが、人形浄瑠璃の文化は瀬戸内に位置する淡路(兵庫県)や阿波(徳島県)から全国に伝わりました。徳島では、吉野川の恵みによる美しい青の阿波藍が莫大な富をもたらし、人形浄瑠璃が発展しました。一方で、人形浄瑠璃の劇場音楽である「浄瑠璃」の語源は「清らかな青」を意味しています。つまり、本展のタイトル「In the Blue」は、人形浄瑠璃の成り立ちやその芸事を育んだ歴史的背景までを内包しているのです。
本展を開催する広島県福山市は、江戸時代から綿織物業が盛んであり、江戸時代末期には藍で染めた糸を織りあげる備後絣の生産も始まります。備後絣の染色や縫製等の技術は、今日の街を代表するアパレル産業であるデニム製造にも受け継がれています。本展において、古典芸能に新たなイマジネーションを与える後藤の作品を通じて、過去から未来へと文化を伝える現代アートの可能性について考えると同時に、人形浄瑠璃と藍の関わりから、瀬戸内を横断して大阪と福山を繋いでいく「青の文化史」を再考する契機ともなるでしょう。

関連記事

コメント

  • トラックバックは利用できません。

  • コメント (0)

  1. この記事へのコメントはありません。

ピックアップ記事

  1. 「モダニストの『蝶』 詩人・安西冬衛と好太郎」mima 北海道立三岸好太郎美術館
  2. 「土が開いた現代 革新するやきもの」和歌山県立近代美術館
  3. 「キース・へリング展 アートをストリートへ」兵庫県立美術館
ページ上部へ戻る