「山本雄教:仮想の換金 (priceless museum)」京都市京セラ美術館

「山本雄教:仮想の換金 (priceless museum)」京都市京セラ美術館

名称:「山本雄教:仮想の換金 (priceless museum)」京都市京セラ美術館
会期:2023年10月13日(金)〜2024年2月12日(月)
時間:10:00~18:00
   【夜間延長開館】11/11(土)のみ 20:00 まで
   11/11-12開催 「CELEBRATING 90TH 京都市美術館90周年記念祭」
会場:ザ・トライアングル
休館日:月曜日(祝・休日の場合は開館)、年末年始(12月28日〜1月2日)
観覧料:無料
住所:〒606-8344京都府京都市左京区岡崎円勝寺町124
TEL:075-771-4107
URL:京都市京セラ美術館

山本雄教《4050円の女》2023年 写真:守屋友樹
山本雄教《4050円の女》2023年 写真:守屋友樹

山本雄教は、日本画の研究を通して学んだ技法や素材を応用し、米粒の線描やブルーシートを素材としたインスタレーションなどを制作しています。一円硬貨を用いた作品群では、小さく身近な存在である硬貨が、現代社会における貨幣と美術作品の関係性といった大きなものにまで繋がるという、ミクロとマクロを交錯させる試みを展開してきました。
本展では、麻紙の下に一円硬貨を敷き詰め、当館所蔵作品やその作家である近代日本画の巨匠たちの肖像を鉛筆のフロッタージュで描き出す大型の新作を含む7点を発表します。この肖像をモチーフにした作品のサイズは、描かれた画家たちの作品が仮に美術市場に出された場合の想定価格によって規定され、価格が高ければ高い程大きく鮮明に表されます。時代を経て、彼らに相対するように展示される山本自身の自画像も例外ではなく、この皮肉めいたルールに従って小さく不鮮明に描き出されます。このような創作過程を通して、山本は所蔵作品も含め美術作品が経済活動と切り離せない事実を、美術館の歴史の背後に読み取ろうとしています。
美術作品は、美術館では広く一般に公開されますが、美術市場においては所有や投機の対象として売買され、その価格は作家の意思とは無関係に、需要と供給によって決定されます。しかし、その取引で交換される貨幣の価値も、国家や中央銀行の「信用」によって仮想的に裏付けられたものと言えます。タイトルの「仮想の換金」は、美術作品を取り巻く清濁入り混じった関心に端を発しながら、作品ひいては貨幣の価値の不確かさを指し示しています。
本展は美術作品を取りまく機関や制度、市場などの環境と作家自身との距離感など、複数の視座をユーモラスに提示します。
「ザ・トライアングル」について
「ザ・トライアングル」は、当館のリニューアルオープンに際して新設された展示スペースです。京都ゆかりの作家を中心に新進作家を育み、当館を訪れる方々が気軽に現代美術に触れる場となることをねらいとしています。ここでは「作家・美術館・鑑賞者」を三角形トライアングルで結び、つながりを深められるよう、スペース名「ザ・トライアングル」を冠した企画展シリーズを開催し、京都から新しい表現を発信していきます。

本展覧会には、「新進作家支援・育成事業等のためのチャリティ・オークション&ガラ・ディナー」を通じたご支援をいただいております。
山本雄教(やまもと・ゆうきょう)
Yamatomo Yukyo
1988年京都府生まれ。2010年成安造形大学日本画クラス卒業。2013年京都造形芸術大学大学院修士課程ペインティング領域修了。京都市在住。一円硬貨やペニー硬貨を用いたフロッタージュによる絵画シリーズや、ブルーシートを支持体に伝統的な日本画のモチーフを描いた作品などを制作している。近年参加した主な個展に「〇〇〇〇円の芸術家」(至峰堂画廊、大阪、2022年)。主なグループ展に「市制90周年記念展 わたしたちの絵 時代の自画像」(平塚市美術館、2022年)、「第8回東山魁夷記念 日経日本画大賞展」(上野の森美術館、2021年)。「京都 日本画新展2020」京都市長賞受賞。

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